人と人とをつなぐ玉貴の節句料理四季を味わい、家族の絆を深める日本の伝統行事
人日の節句1月7日(七草の節句)

家族と共に無病息災を願う年はじめ
古来の中国では正月1日「鶏」2日「狗」3日「羊」4日「猪」5日「牛」6日「馬」7日「人」と続き、7日刑を行わず(人を殺さず)という風習が日本に伝えられたことがきっかけとされています。

一年の無病息災を願って食べる七草粥
別名「七草の節句」とも呼ばれ、人日の翌日に穀の占いを立て、無病のまじないとしてせり、なずななどの七種類の野菜を食べる習慣も伝わったことから、江戸時代では人日の節句を祝い、これら七草を入れた七種粥(かゆ)を食べたとされています。

家族の節句
年のはじめに家族全員で一年の無病息災と長寿を願い七種粥を食べる習慣が続いたことから、家族の節句とも言われております。
重陽の節句9月9日(菊の節句)

いたわりと敬いのこころをかたちに
中国では、奇数は縁起のよい陽の数とされ、一番大きな陽の数である九が重なる9月9日を、「重陽」として定められました。また、旧暦では菊が咲く季節であることから菊の節句とも呼ばれており、宮中の行事では天皇以下が紫宸殿に集まり、詩を詠み菊花酒を飲みながらけがれを祓い長寿を願いました。

秋の恵みをやわらかい月明かりと共に
月の満ち欠けにより月日を知り、農事を行われておりました。十五夜の満月の夜は祭儀が行われ、日本では月が見えるところに月見団子とススキを飾り、季節の収穫物を備えるなどをして、月の鑑賞に酒宴を設けられています。※ここ山形では、旧暦に習い、月遅れにて催されます。

五節句豆知識1~9月(奇数の重なる月)

五節句とは
五節句の「節」は中国が定めた季節の変わり目のことで、暦の中で奇数の重なる日を取り出して、季節の旬の植物から生命力をもらい邪気を祓うという目的から始まりました。この5つの「節」を江戸時代に幕府が公的な行事・祝日として定めたのが人日の節句、上巳の節句、端午の節句、七夕の節句、重陽の節句の五節句です。
季節の草や木に彩られる「五節句」
五節句は、以下の様にそれぞれの節句に合わせて、必ず季節の草や木が料理などに用いられています。
- 1月7日 人日の節句 ・・・「七草」
- 3月3日 巳の節句 ・・・「桃」
- 5月5日 端午の節句 ・・・「菖蒲」
- 7月7日 七夕の節句 ・・・「竹」
- 9月9日 重陽の節句 ・・・「菊」
絆を深め英気を養う節句の宴
五節句ではそれぞれの季節に合った供物を神に捧げ、その供物を一緒に食すことから「節句」が「節供」とも書かれる理由です。節句は神事であり、祈りによって人々(家族)の絆を深めるための行事として身体を休め、滋養のある食材を食べて鋭気を養う貴重な機会として日本文化に定着しました。節句の祝いは祖父母から孫までが世代を超えて一家団らんできる貴重な機会。親族が集まって子どもの成長を祝福した記憶がいつまでも心に残ります。節句のお祝いを積み重ねることで、家族の絆を大切にする心が自然と養われます。
四季を味わい絆を深める節句
それぞれの節句の飾り付けにより季節感を演出し、旬の食材を使った季節料理でおもてなしすることで、四季を味わい、お料理を愉しみながら、人と人との絆を深める貴重な機会が節句の本来のありかたです。